食品利用加工学研究室
沖縄の食資源の潜在能力を見出し、それを十分に発揮できる食品加工技術を作り出す!
食品利用加工学研究室では、島コショウと呼ばれるヒハツモドキをはじめ、主に沖縄の生物資源の食品加工を通じて、食品の「栄養」「おいしさ」「健康効果」そして「安全性」などの変化を研究しています。食品加工業や食品材料開発など食に関わる「ものづくり」に興味のある人にお勧めです。
教員名:高橋 誠(たかはし まこと)
所属:亜熱帯生物資源科学科, 食品機能科学分野
専門分野:食品加工学,応用食品材料学,食品化学
主な研究内容
食資源の加工開発と機能性の評価
沖縄の生物資源の食品加工において、食品の「栄養」「おいしさ」「健康効果」そして「安全性」などの変化に影響を与える加工要因を解明することで、食品素材のもつ「個性」を発揮できるような食品の加工方法や加工条件などを見出すことを目的としています。高橋研究室では、こういった加工要因や食品機能性の解明について培養細胞や実験動物を用いた研究も行っています。
◆ヒハツモドキの加工特性が脳波におよぼす影響に関する研究
「食品利用加工学と脳波解析を融合させた食品三次機能調査と脳科学視点も含めた食の更なる普及や高度利用」を目的に、ヒハツモドキの活用法の開発を行っています。
高橋研究室では食品加工後のヒハツモドキの味成分(ピペリン)や香り成分のようなフレーバー特性を明らかにするとともに、このようなフレーバーがヒトの脳波に与える影響を解析することで、ストレス緩和効果などのメンタルヘルスへの効果について研究しています。
ヒハツモドキ果穂内部 ヒハツモドキ果穂の焙煎特性
海洋生物の陸上養殖条件が肉質の変化に与える影響の解明
高橋研究室では、「閉鎖循環型陸上養殖」開発の一端として、養殖魚(ヤイトハタ)のおいしさの評価を進めています。本研究は養殖魚の餌(食品加工残渣の高度利用)や養殖環境(光環境や海水濃度など)と、魚肉のおいしさやテクスチャの関連性について、養殖魚の成長過程を追跡しながら遺伝子レベルで調べています。
またSDGsな取り組みに関連して、養殖魚の出荷の際に捨てられる加工残渣(内臓やすき身)の利活用を目的に、加工残渣の自己消化(幽門垂由来)を主体とした発酵処理の検討や得られた発酵物を用いた二次加工(嗜好品や調味料など)を試みることで、陸上養殖におけるゼロエミッション構築に関する研究にも取り組んでいます。
養殖ヤイトハタ(アーラミーバイ) 養殖所(琉大 瀬底研究施設)の様子
成分分析の様子(高速液体クロマトグラフィー) 官能検査の様子
食品ナノ材料の開発とその機能性評価
高橋研究室では、食品成分の特性や機能性をコントロールする方法として「ナノサイズ」で成分をカプセル化する技術開発を進めています。具体的には「リポソーム」や「ナノディスク」と呼ばれるナノサイズの包摂素材を分子レベルで作り出し、食品成分を包摂させることで、例えば成分の苦みや香りのマスキング効果が期待できますし、腸管吸収性の悪い成分についてはその吸収性を向上させることで、成分の生体利用率を改善できる可能性もあります。
多重膜リポソーム リポソーム電子顕微鏡写真
◆サトウキビバガスの利活用として、バガス由来ポリフェノールのナノカプセル化と培養細胞を用いた腸管吸収性の評価を進めています!
サトウキビ茎 サトウキビバガス(搾り粕) バガスポリフェノールのナノカプセル化工程のイメージ