卒業生インタビュー01
2016年 3月31日
行政を通じて沖縄農業を支援したい
卒業生:大城菜夏さん(沖縄県農林水産部)
現役生:南風立大地(亜熱帯地域農学科4年生)
沖縄の農業を行政の側から支援する。その役割を担っているのが沖縄県庁の農林水産部であり、今回取材させてもらった大城菜夏さんの仕事だ。大城さんは農学部生物生産学科を卒業後、沖縄県庁に入庁し、現在は八重山農林水産振興センター農業改良普及課農業技術班に配属されて、そこでサトウキビを担当している。
サトウキビは生産者の高齢化と担い手不足により危機的な状況にあるが、現在でも沖縄の農業を支える重要な基幹作物だ。特に遠隔離島地域ではサトウキビを代替する作物を見いだすことは容易ではなく、地域を支える重要な作物である。大城さんはそんなサトウキビの普及指導や講習会、関係機関との調整役を担い、地域の農業振興に欠かせない仕事をしている。
大城さんが農業の支援を仕事にしたいと考えたのは至極当たり前だったのかもしれない。父親も沖縄県庁の農林水産部で働いており、祖父母も農家だった。しかも、出身地である糸満市は沖縄の中でも農業が盛んなことで知られる地域である。そんな周りの影響を受けながら育った大城さんは、農家を支援する行政の力が大切であることも知っていた。だからこそ現在の職業を選んだのだろう。
そんな大城さんがこの仕事のやりがいを語ってくれた。
「一生懸命勉強して理解した事業を農家さんに説明したときに興味を持ってもらえるのが、自分の努力が報われたようでうれしい。でもやっぱり一番嬉しいのは、直接感謝の言葉をもらえたときです。」
農業普及という仕事だからこそのやりがいだ。
一方で、この仕事の苦労もこの仕事ならではだ。
「大変なのは農家さんから強く要望されても、どうしても対応できないことがあることです。それでも、人とのかかわりが重要な仕事なので、相手から信用されるよう努力することはとても重要です。」
そんなときは、学生時代に学んだ農業経営学や農業経済学の知識を踏まえ、周りの意見も聞きながら判断するという。そのうえで、農家の収入増加につながる可能性が高いと判断できれば、その導入に向けて支援していく。逆に、農家の収入増加よりもコスト負担が大きいと予想されるときは、農家や関係機関一緒に別の方法を考えていかなければならない。
大城さんから農学部の後輩にメッセージをいただいた。
「農学部はとても広い分野を学ぶことができる学部だと思います。自分の専門分野は農業経営、農業経済でしたが、それ以外にも園芸や育種などの分野を学ぶ機会もありました。そのおかげで、サトウキビを担当することになってもどうにか農家の手助けが栽培や生態についても理解できているのかなと思います。後輩の皆さんには、今は無駄なように感じるかもしれないけど将来絶対に必要な知識を学んでいると思って専門外の分野も積極的に学んでほしいと思います。」
沖縄の農業を支える仕事をしている大城菜夏さん。そんな大城さんが農家を支援していくのに必要な知識や経験の基礎となっているのは、琉球大学農学部で学んだことだ。その知識と経験が農家を支援していく大城さんの支えになっている。
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