森林共生学研究室
- 研究テーマ
- 森林
- キーワード
- 与那フィールド /森林計画 /やんばる /世界自然遺産 /ヤクスギ
研究内容
森の特性を解明し,利用と保全の適切なバランスを探究
世界自然遺産にも登録された沖縄島北部やんばる地域に位置する与那フィールドを中心に,森の特性の解明や,持続可能な森林利用につながる調査研究に取り組んでいます。
教員名 | 高嶋 敦史 |
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所属 | 亜熱帯地域農学科 農林共生学 |
専門分野 | 森林科学 /森林計画 |
主な研究内容
沖縄島北部やんばる地域を中心とした亜熱帯林の利用と保全
世界自然遺産にも登録された沖縄島北部の国頭村に位置する与那フィールドで,亜熱帯林の利用や保全について研究しています。 やんばる(山原)と呼ばれるこの地域の森は,古くから燃料や建築材などの生産のために利用されてきました。そして第二次大戦後からは,復興資材やチップの生産などで,かつてない大規模な利用が行われるようになりました。現在も,小規模な木材生産などでの森林利用は続いています。一方でこの森には,ヤンバルクイナ,ノグチゲラ,ケナガネズミなどの多くの希少生物も生息し,固有の生態系を形成しています。今後は,このやんばるの森の利用と保全のバランスをどのようにとっていけばよいのか,フィールドワークで得られたデータに基づき考えていきたいと思います。
屋久島・ヤクスギ林の長期林分動態解明
屋久島のヤクスギ林において,森の成り立ちや長期動態を解明するための調査を続けています。 ヤクスギ林は,樹齢1,000年を超えるスギも数多く生育している森です。しかしながら,この森は江戸時代前後に大規模な伐採を受けたことが知られています。長期にわたる継続調査や林内に残存する切株等のデータから,現在のヤクスギ林の成因と維持機構を解明したいと思っています。
・高嶋の研究活動等については,こちらをご覧ください。
・高嶋が勤務している与那フィールド(演習林)については,こちらをご覧ください。
・RYUDAI@home(ウェブオープンキャンパス)での研究室紹介動画はこちらをご覧ください(2021年7月版)。
学生教育
学生は,ふだんは琉球大学のメインキャンパスで学生生活を送り,フィールドワークのときだけ与那フィールドに滞在します。
【卒業論文タイトル】
(2023年度)
・やんばる地域の与那川上流域における渓畔林の林分構造
・やんばる地域の非皆伐成熟林における樹洞の形成と経年変化
(2022年度)
・やんばる地域のリュウキュウマツ人工林とその周辺の二次林における地上利用動物相の違い
・沖縄島やんばる地域の二次林におけるタブノキの生育適地の解明
・沖縄島やんばる地域における約60~75年生二次林の遷移
・沖縄島やんばる地域の非皆伐林におけるオキナワウラジロガシの生育状況
(2021年度)
・やんばる地域における台風撹乱を経た非皆伐林の林分動態
・二次林と人工林におけるオキナワウラジロガシの成長量の解明
・リュウキュウマツ人工林内に樹下植栽されたイヌマキの成長
・やんばる地域の天然林におけるイヌマキの分布・成長と地形との関係
(2020年度)
・リュウキュウマツ人工林内に残存する保護樹帯の林分構造
・やんばる地域の天然生林におけるイヌマキの資源量と更新様式
(2019年度)
・やんばる地域における天然林優占種の台風被害後の葉量とその後の再生
・イジュ人工林の除間伐施業効果の検証
・与那フィールドにおける炭焼き窯の立地と周辺の樹木の再生状況
(2018年度)
・やんばる地域の二次林における30年生から40年生にかけての遷移
・オキナワシャリンバイ植栽木の初期成長特性
・やんばる地域の林道沿いにおける外来樹木の侵入状況
・イスノキ植栽木の成長に侵入木と斜面位置が与える影響
・やんばる地域のリュウキュウマツ人工林における木本植物の多様性
(2017年度)
・やんばる地域の非皆伐成熟林における樹洞の形成と生物利用
・やんばる地域の国立公園・世界自然遺産化とごみ処理の課題
・ヤクスギ天然林の長期林分動態と測定間隔が解析結果に及ぼす影響
(2015年度)
・沖縄県の木工業事業所の特徴と県産材の利用
・やんばる地域における戦後の伐採から再生した二次林の動態
・やんばる地域の伐採地林縁部で発生する樹木の枯損と地形の関係
(2014年度)
・沖縄島北部での観光客数の今後の動向と域内移動性の計量評価の試み -沖縄県の入込観光客数の推移特徴との連動性からの視点に立って-
・沖縄島北部の亜熱帯性天然林におけるオキナワウラジロガシの発生パターン
(2013年度)
・やんばる地域の亜熱帯林における台風被害木の特徴
・音声解析によるやんばる地域の林相別の鳥類分布の把握
(2012年度)
・林内路網の補間的交通・輸送手段としての林業用モノレールの導入の可能性
・沖縄県における林産物流通構造の一考察
【修士論文タイトル】
(2023年度)
・UAVによる空撮画像を用いたリュウキュウマツの識別手法の検討
(2022年度)
・沖縄島やんばる地域の伐採地の尾根における林縁木の衰退パターン
(2021年度)
・やんばる地域の約70年生二次林における樹洞の形成
(2020年度)
・やんばる地域におけるイスノキ大径木が点在する非皆伐林の構造
・やんばる地域の二次林における尾根の林冠構造とリュウキュウマツの出現傾向
(2015年度)
・Spatial estimation of hydrological conditions based on computer simulation techniques in Yambaru forest area
・沖縄島北部におけるイジュ人工林の除間伐基準の検討
(2014年度)
・沖縄県における住宅構造材の歴史的変遷に関する一考察
【博士論文タイトル】
(2017年度)
・沖縄県における住宅構造材および燃料資材調達の歴史的変遷に関する研究
※共同で研究室を運営し,森林と地域社会のかかわりなどを研究・指導されてきた芝正己教授が2018年度末をもって定年退職されました。2019年度以降は,高嶋1名でフィールドワークを中心とした論文指導に取り組んでいます。