発酵微生物学研究室
研究内容
沖縄でできる。沖縄だからできる。微生物を遺伝子レベルで解き明かす!
主な研究内容
耐熱性微生物の応用開発、微生物酵素の構造解析・応用、酢酸菌の生化学、黒麹菌の分子生物学など
夏バテしない微生物を開発して利用する
有用物質生産工業、とくに発酵産業において現在日本で用いられている微生物は一般に熱に弱いので、発酵熱等から生じる温度上昇を抑えるために、多量の水を使うなどして冷却しなければなりません。そのため、温度が高くなっても発酵生産能力の落ちない「耐熱性発酵微生物」を利用することができれば、冷却コストを削減できるだけでなく、炭酸ガス排出量を抑え、環境負荷を軽減させ環境保全にも役立つと考えられます。沖縄など亜熱帯に生存している「亜熱帯微生物」を探索して利用すること、「耐熱性」のメカニズムを調べてさらに「耐熱性」を増強することを目指しています。
微生物酵素の能力を引き出して利用する
酵素は決まった物質にしか反応しない「基質特異性」という性質を持っています。それは、酵素が持っている反応部位の立体構造に基づいています。酵素の立体構造を知ることで、「基質特異性」のメカニズムを知ること、さらにそれを基にして「基質特異性」をデザインして物質生産に利用することも可能になってきています。また、ある種の酵素は物質と反応して電子を取り出すことができます。酵素が取り出した電子を電極に効率よく渡すことができれば、バイオセンサーや生物電池への応用が可能になります。微生物酵素の性質を詳細に調べて改変し、物質生産などに応用することを目指しています。
黒麹菌に関する醸造学・分子生物学的研究
泡盛や焼酎醸造に使われる黒麹菌 (Aspergillus luchuensis) は、清酒や醤油などに使われている黄麹菌 (Aspergillus oryzae) と同様に、国の菌、即ち国菌 として認められています。しかしながら、黒麹菌は、黄麹菌と比べてゲノム情報の整備が遅かったため、分生子生物学的研究が大きく遅れている状態です。黒麹菌は、耐酸性酵素の酸性や菌体外に多量のクエン酸を分泌するといった特性を有しており、その解析や新たな産業利用への大きな期待がなされています。我々は、黒麹菌の分子生物学的基盤強化に関する研究を中心に、泡盛醸造黒麹菌の多様化や新たな産業創生を目指した黒麹菌の分子育種技術への応用研究を行っています。